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「テレビやパソコンだけは差し押さえられたら困る!」
自己破産=財産を全て差し押さえられてしまうといったイメージを持っている方もいるでしょう。
ですが、基本的にテレビやパソコンなどの家電が差し押さえられることはありません。
なぜならテレビやパソコンといった家電製品は民事執行法131条で定められている「差し押さえ禁止財産」に該当する可能性が高いからです。
テレビやパソコンは、差し押さえ禁止財産の中の「債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具」に該当するとされています。
テレビやパソコンのみならず、大抵の家財道具は上記に該当するでしょう。
スマートフォン・携帯電話についても、現在は社会的に生活に必要なものとの認識があるので、通常はこれらと同様に扱われます。
なので基本的に自己破産をしてもテレビやパソコンが差し押さえられることはありませんが、例外もあるのでこの記事ではその“例外”について詳しく紹介していきたいと思います。
テレビやパソコンに財産的な価値がある場合
テレビやパソコンでも、財産的な価値が認められる場合は処分の対象になるケースがあります。
基準としては財産的な価値の評価が20万円を超えるものです。
ちなみにこの場合の20万円は購入価格ではなく、中古で売却した際の価格が20万円以上の価値があると判断されたものです。
例えば、テレビだったら77インチの4Kチューナー内蔵4K有機ELテレビだったり、
パソコンであればゲーミングPCのような高級品ですね。
なかなか中古のテレビやパソコンで評価額が20万円を超えるものありませんし、あったとしても自己破産に至る過程ですでに手放していると思うので、そこまで気にする必要なないかなと思います。
テレビやパソコンを複数台所有している場合
テレビやパソコンを複数台所有している場合は、財産的価値の高いほうが差し押さえられる場合があります。
ただ、2台持っていたら絶対に片方が差し押さえられるわけではなく財産的価値があると判断された場合のみです。
その判断は管財人や自己破産を依頼した弁護士に委ねることになりますが、超大型テレビでない限りは現実的に考えて差し押さえられるケースは少ないと思います。
東京地方裁判所の民事第21部の公開する基準では29インチ以下のテレビが差押禁止動産とされていますが、これはあくまでも過去の基準で現在は29インチ以上のテレビでもそこまで価値がないケースもあるので29インチ以上は絶対に差し押さえになるとは言い切れません。
複数台所持している場合は、差し押さえ“対象”になりますが、それなりの財産的価値がなければ現場までの引取り作業や売却作業などの経費がかかるのでそこまで積極的には行われないでしょう。
ローンで購入してまだ払い終えていない場合
テレビやパソコンなどをローンで購入して、支払いがまだ残っている時に自己破産をしている場合は、ローンで購入したテレビやパソコンの所有権は販売会社やローン会社に留保されているので引き上げられてしまう可能性があります。
ただこの場合は、破産管財人が差し押さえるわけではなく、販売会社やローン会社が所有権に基づいて引き上げることになります。
車のような財産的価値が高いものであればほぼ間違いなく引き上げられますが、パソコンやテレビなどの家電製品の少額割賦契約の場合は、債権が放棄されてそのままになる可能性が高いです。
スマートフォンについても引き上げされなくとも、端末代・通信料などの未払いがある場合、携帯電話会社が端末にロックをかけ(赤ロムにする)、携帯電話用の通信回線での通信ができなくなることなどもあります。
まとめ
上記で紹介したように、自己破産をしてもテレビやパソコンといった家電が差し押さえられる可能性は限りなく低いです。
債権者にとっても家財の差し押さえは債権回収方法としては割に合わないことが多く、結局何も差し押さえられなかったというケースのほうが多いです。
ただ、複数台のテレビやパソコンの差し押さえの判断は管財人なのでどうしてもテレビやパソコンを残したい場合や、大型で新品のテレビがある場合は自己破産を依頼している弁護士に相談しておいたほうがいいでしょう。