自己破産での資格制限(職業制限)は?仕事を辞めることになる?

自己破産での資格制限

自己破産をすると、一定期間資格や職業への制限が出ます。そのため、自己破産を検討する際に、仕事への影響がどの程度出るのか不安に感じる人も多いのではないでしょうか?

資格や職業の制限に該当する仕事を除けば、基本的には、自己破産をしたからといって現在勤めている会社を辞める必要はありません。

こちらの記事では、自己破産を行った際の資格や職業の制限について解説していきます。

  • 公開日:

この記事の監修者

弁護士法人 天音総合法律事務所 正木 絢生 (第一東京弁護士会所属)

自己破産には資格や職業の制限があります。

借金問題に悩んだ時に、法的に解決できる手段として債務整理があります。

債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産という種類があり、このうち自己破産には資格や職業の制限があります。

この資格や職業への制限とは、自己破産を行うと、一定期間、その仕事ができなくなることをさします。

ただし、制限はあらゆる資格や職業に対して発生するわけではなく、また、制限されるのは一定期間で、範囲は限定的といえます。

破産開始決定を受けたことで制限される

自己破産をしたことによって資格や職業が制限されるタイミングは、破産開始決定を受けたときからです。

そもそも、自己破産を裁判所に申し立てるまでには、以下のような手順をたどります。

自己破産の流れ

  • 弁護士などの専門家に相談・依頼をする
  • 受任通知が債権者に送られる
  • 書面作成や資料収集など準備を行う
  • 裁判所に自己破産の申立てをする
  • 破産手続開始決定がされる

破産手続開始決定がされると資格や職業の制限が発生し、免責が許可されると資格や職業の制限がなくなる仕組みです。

資格や職業の制限はいつまで続く?

自己破産を申し立ててから免責許可決定がされるまで資格や職業が制限されるわけですが、その期間は3~6ヶ月ほどのケースが大半です。

免責が許可されれば、元どおりに資格を用いて仕事をしたり、元の職業で業務をすることが可能です。

資格や職業の制限が消滅することを復権と言いますが、自己破産における復権には、当然復権と申立による復権の2種類があります。

当然復権

自己破産手続後、復権のための手続きを行わなくても勝手に権利が復活することをいい、当然復権には、以下のケースがあります。

  • 免責許可の決定が確定したとき
  • 債権者全員の同意によって破産手続きの廃止が確定したとき
  • 詐欺破産罪で有罪になることなく10年が経過したとき

自己破産を行って免責が許可されれば、基本的に当然復権によって資格や職業の制限はなくなります。

申立による復権

自ら申立てをして権利を復活させることをさします。

破産者が、債権(借金)の弁済を行い、債権者に対しての責任を免れた場合には、裁判所に対して復権の申立てをし、決定をしてもらうことができます。

自己破産の免責が不許可になったケースなどで、申立による復権を行うことがあります。

自己破産で制限される資格・職業

自己破産をすることで制限される資格や職業を確認していきましょう。

自己破産によって制限が発生する資格や職業一覧

自己破産をしたことによって制限が発生する資格や職業で代表的なものだと、士業(弁護士・司法書士・税理士など)や警備員、生命保険募集人などがあります。

以下、制限のある資格・職業の一部をみてみましょう。

ア行

法規

資格

アルコール売捌規則第40条

アルコール普通売捌人

位階令第6条

有位者

宇宙開発委員会設置法第7条

委員会委員

卸売市場法第17条

卸売業者

沖縄振興開発金融公庫法第33条

公庫の役員

カ行

法規

資格

科学技術会議設置法第7条

会議々員

割賦販売法第33条

割賦購入あっせん業者

環境衛生金融公庫法第31条

公庫の役員

貸金業の規制等に関する法律第6条

貸金業者

外国証券業者に関する法律第5条

外国証券業者

簡易郵便法第3条の2

簡易郵便局長

行政書士法第5条

行政書士

漁船損害等補償法第24条

漁船保険組合の組合員

金融先物取引法第19条

金融先物取引所会員(法人)

原子力委員会及び原子力安全委員会設置法第5条

原子力委員及び原子力安全委員

競馬法第23条の13

地方競馬全国協会の役員

競馬法執行規則第3条

調教師又は騎手

検察審査会法第5条

検察審査員

警備業法第3条

警備業者

警備業法第7条

警備員

警備業法第11条の3

警備員指導教育責任者等

警備員の検定に関する規則第5条

警備員等の受検

建築基準法第80条の2

建築審査会の委員

建築士法第23条の4

建築士事務所開設者

建築設備資格者登録規定第6条

建築設備資格者

建設業法第8条、第17条

一般建設業、特定建設業

建設業法第25条の4

建設工事紛争審査会の委員

下水道処理施設維持管理業者登録規程第6条

下水道処理施設維持管理業者

公害等調整委員会設置法第9条、第10条

委員長及び委員

公安審査委員会設置法第7条、第8条

委員長及び委員

国家公務員法第5条、第8条

人事官

公証人法第14条

公証人

公認会計士法第4条

公認会計士、公認会計士補

鉱業登録令第51条

共同鉱業権者

国民金融公庫法第29条

公庫役員

公営企業金融公庫法第36条

公庫役員

国際観光レストラン登録規程第4条

国際観光レストラン

港湾労働法第12条

港湾労働者雇用安定センター

公害紛争処理法第16条

都道府県公害審査会の委員

サ行

法規

資格

司法修習生に関する規則17条

司法修習生

司法書士法第4条

司法書士

質屋営業法第3条

質屋

塩専売法第22条

塩販売人

信託法第5条

受託者

会社法第607条1項5号

持分会社の社員

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第31条

公正取引委員会の委員長及び委員

商工会議所法第15条

会議所会員

商品取引所法第24条

商品取引所会員

商品取引所法第57条

商品取引所役員

商品投資に係る事業の規則に関する法律第6条

商品投資販売業

商品投資に係る事業の規則に関する法律第32条

商品投資顧問業

住宅金融公庫法第32条

公庫の役員

信用金庫法第17条

信用金庫等の役員

商工会法第32条

商工会の役員

社会保険審査官及び社会保険審査会法第24条、第25条

社会保険審査会委員

社会保険労務士法第5条

社会保険労務士

証券取引法第32条

証券業

証券取引法第64条の2

証券取引外務員

証券取引法第156条の4、第156条の10

証券金融会社の役員

証券投資信託法第7条

信託会社

税理士法第4条

税理士

船主相互保険組合法第17条

船主相互保険組合

測量法第55条の6

測量業者

タ行

法規

資格

宅地建物取引業法第5条

宅地建物取引業

宅地建物取引業法第18条

宅地建物取引士

たばこ事業法第13条

製造たばこの特定販売業の登録

たばこ事業法第17条

製造たばこの特定販売業者

地価公示法第15条

土地鑑定委員

地質調査業者登録規程第6条

地質調査業者

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条、第9条

教育委員会委員

著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律執行規則第13条

仲介人

中小企業指導事業の実施に関する基準を定める省令第4条

診断を担当する者

中小漁業融資補償法第16条

漁業信用基金協会会員

中小企業金融公庫法第31条

公庫の役員

中小企業信用保険公庫法第27条

公庫の役員

通関業法第6条

通関業

通関業法第31条

通関士

鉄道事業法第6条

鉄道事業、索道事業

抵当証券の規則等に関する法律第6条

抵当証券業者

土地家屋調査士法第4条

土地家屋調査士

土地収用法第54条

土地収用委員及び予備委員

ナ行

法規

資格

日本中央競馬会法第13条

日本中央競馬会の役員

日本弁護士連合会、外国法事務弁護士記章規則第6条

外国法事務弁護士

日本銀行法第13条の6

政策委員会任命委員

日本輸出入銀行法第43条

日本輸出入銀行の役員

日本開発銀行法第41条

日本開発銀行の役員

農水産業協同組合貯金保険法第19条

農水産業協同組合貯金保険機構運営委員会委員

農林漁業金融公庫法第30条

公庫の役員

ハ行

法規

資格

陪審法第13条

陪審員

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第7条

一般廃棄物処理業者

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条

産業廃棄物処理業者

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の2

特別管理産業廃棄物処理業者

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第4条

風俗営業を営もうとする者

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第24条

風俗営業の営業所管理者

風俗環境浄化協会に関する規則第4条

調査員

不動産の鑑定評価に関する法律第16条

不動産鑑定士、不動産鑑定士補

不動産の鑑定評価に関する法律第25条

不動産鑑定業者

不動産特定共同事業法第6条、36条

不動産特定共同事業を営もうとする者

弁護士法第6条

弁護士

弁理士法第5条

弁理士

補償コンサルタント登録規程第6条

補償コンサルタント

北海道東北開発公庫法第34条

公庫の役員

保険業法第15条の3

株式会社たる保険業の取締役

保険業法第60条、第62条

相互会社たる保険業の取締役、監査役

保険業法第279条

生命保険募集人及び損害保険代理店

マ行

法規

資格

前払式証票の規則等に関する法律第9条

第三者発行型前払式証票の発行者

民法1009条

遺言執行者

ヤ行

法規

資格

ユネスコ活動に関する法律第11条

国際委員会委員

有価証券に係る投資顧問業の規制に関する法律第7条

投資顧問業

預金保険法第19条

預金保険機構運営委員会委員

ラ行

法規

資格

旅行業法第6条

旅行業

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第6条

一般労働者保険事業者

労働保険審査官及び労働保険審査会法第30条、第31条

労働保険審査会の委員

自己破産を理由に会社を退職せざるを得ないことはある?

資格や職業を制限されない場合でも、「自己破産をしたら会社を辞めなければいけない?」と心配される人もいらっしゃると思います。

ご安心ください。

自己破産を理由に会社を辞める必要はありませんし、会社側も自己破産を理由にして従業員を解雇することは不当解雇にあたるためできません。

自己破産の事実を裁判所から会社に通達することはありませんので、自己破産をしたら必ず会社に知られるわけではありません。

ただし、会社から借入れがある場合には、会社も債権者となりますので、会社に破産の事実を隠せなくなってしまいます。

自己破産の相談は天音総合法律事務所まで

自己破産をすると一定期間、資格や職業に制限が出ます。

しかし、生涯にわたって制限が発生するわけではなく、破産の申立てをしてから破産手続開始決定がなされるまでの3ヶ月~6ヶ月ほどの期間です。

自己破産をして仕事ができなくなり、収入が途絶えてしまっては生活再建をはかれなくなってしまいます。

自己破産によって自分の仕事に出る影響を知りたい方は、弁護士に相談して自己破産手続きを行いましょう。

天音総合法律事務所では、自己破産のご相談を数多く受けており、解決実績も豊富にあります。

「自己破産をしたら自分の職業へはなんらかの影響が出てしまうだろうか?」、「会社に内緒にしたまま自己破産をしたい」、「自分には自己破産以外の選択肢はないか」など、気になることがあればお気軽にご相談ください。