自己破産後の生活の変化。カード、ローン、家族などにどう影響する?

事故破産後の生活への影響

自己破産と聞くと「人生の終わり」というようなマイナスイメージをお持ちの方も多いと思います。自己破産は、裁判所から免責が許可されれば借金をゼロにすることができる、国が認めた多重債務に悩む方の救済措置になりますので、自己破産=人生の終わりというわけではありません。しかし、自己破産をするとその後の生活がどうなっていくか心配ですよね。
ここでは自己破産後の生活について解説していきます。

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この記事の監修者

弁護士法人 天音総合法律事務所 正木 絢生 (第一東京弁護士会所属)

自己破産によって起きる5つのこと

自己破産をした後、まず何が起きるのか、日々の生活にはどのような影響が出てくるのかについて、5つに分けて解説していきます。

借金がなくなる

「自己破産をしたあとどうなるのか…」。

多額の借金を背負っていたとしても、自己破産すると原則として借金を支払う義務がなくなります(このことを免責といいます)。

借金がゼロになり、文字通り人生の再出発をしていくことができます。

借金返済の義務から免れることができるので、借入先からの督促や電話もなくなります。

一定以上の金額の財産は売却することになる

自己破産で借金ゼロにできるのは、財産・収入が不足して借金返済の見込みがないことが前提となります。

もし、財産を持っていた場合には、原則として財産を処分する必要が出てきます

なぜなら、自己破産というのは、財産があればお金に換えて債権者(借入先)に配当し、それでも残る借金をゼロにしてもらう手続きになるからです。

ただし、すべての持ち物が換金されてしまうわけではありません。

処分する財産と残しておける財産については、後ほど詳しく解説します。

一定期間、ブラックリストに掲載される

自己破産をすると、ブラックリストに載せられてしまいます。

ブラックリストとは、信用情報に事故情報が登録されている状態のことをいいます。

この信用情報に事故情報として登録がされると、いくつかのデメリットが発生します。

こちらも後ほど詳しく解説いたします。

ちなみに、信用情報に事故情報として登録されている期間は、自己破産の場合は約10年と言われていて、一生登録がされているわけではありません。

また、自己破産だけが信用情報に事故情報として登録されるわけではなく、他の債務整理(任意整理や個人再生など)でも事故情報として登録されます。

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一定期間、一部の資格や職業が制限される

自己破産をすると、一定の資格や職業に制限がされることになります。

具体的にいくつか挙げると、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士といった士業の資格は停止となります。

その他にも、保険外交員、警備業、卸売業、貸金業、旅行業などの職業に就くこともできなくなります。

ただし、この制限は自己破産の手続き中だけであり、免責が許可されると上記の制限も解除されることになります

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自己破産をしたことが官報に掲載される

自己破産をすると官報に自己破産をしたこととともに氏名・住所が掲載されてしまいます。

官報というのは政府が発行する日本の機関紙で新聞のようなものです。

官報は、休日以外は毎日発行されていて、官報販売所で売られています。

また、インターネット官報というものもあり、こちらは発行されてから30日以内の情報をネットで閲覧することができます。

しかし、官報が原因で自己破産したことが周囲に分かってしまう可能性は低いでしょう

なぜなら、日常的に官報を読んでいる人は非常に少なく、中身の量も多いため、知り合いの目につくことはほとんど考えられないからです。

自己破産後のお金への影響

「自己破産をすると無一文になってしまうのか?」「家にある財産も全部持っていかれてしまうのか?」など、お金に関する問題について気になっている人もいると思います。

ここでは自己破産をしたことによるお金関連への影響についてまとめていきます。

貯金や手元の現金は処分する場合がある

前述にて、一定以上の金額の財産は売却することになるという説明をしました。

理由は、財産があれば現金に換えて債権者(借入先)に配当し、それでも残った借金を免除してもらうための手続きが自己破産だからです。

ただし、すべての財産を債権者に配当するわけではなく、一定未満の金額の財産であれば手元に残して置けます。

具体的な金額として、99万円以下の現金や、財産の価値が一定額(一般的には20万円)以内の物品自由財産として手元に残しておけるということになっています。

自己破産をされた方でも日々の生活を営んでいく必要があるため、1円単位で現金が没収されることはありません。

給与や年金には影響は出ない

自己破産をしても給与や年金についての制限はないため、そのまま受け取っていくことができます。

また、自己破産後(正確には破産開始決定後)に得た財産は新得財産といって、財産処分の対象にはなりません。

しかし、年金を担保に借入をしていた場合、自己破産をしてもその借金をゼロにすることはできず、借金完済するまで年金を受け取ることができない場合もあります。

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クレジットカードは一定期間使用できなくなる

クレジットカードについてはどうでしょうか。

自己破産をすると、約10年、自己破産手続を取ったという記録が信用情報に事故情報として残ることはご説明しました。

その間は、基本的にクレジットカードの利用や新たなクレジットカードの作成、新たなローンを組むことはできなくなります

なぜなら、金融機関やカードローン会社などは信用情報に事故情報の記載がないかを審査の過程でチェックしているからです。

ただし、事故情報が信用情報に残っている期間を過ぎれば、新しいカードの作成やローンを組むことが可能になります。

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自己破産後の日常生活への影響

自己破産をした後、住まいや公共料金、税金や仕事についてなど、日常生活にどのような影響が出てくるのかをいくつかの項目に分けて説明をしていきたいと思います。

査定価格20万円以上の車は差し押さえられる

自己破産時に所有している車は、ローンの支払い有無によって状況が変わってきます。

自動車ローンが残っていない場合、自動車時価がキーポイントになります。

理由は、時価が20万円以上であれば原則として自動車は処分されるからです。

時価が20万円未満の車であれば手元に残しておけるといえるでしょう。

また、自動車ローンが残っている場合は、ローン会社との契約によってローン完済までの間は自動車の所有権はローン会社に留保されます。

そのため、自己破産時にローンの残っている車を所持していたら、自動車の時価に関わらずローン会社に自動車を引き上げられるのが原則です。

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持ち家だと売却、賃貸なら住み続けられる

自己破産した後の住まいは持ち家か賃貸かで変わってきます。

持ち家の場合は処分の対象になります

ただし、自己破産の手続きが始まるまでには猶予があるので、その間に転居の準備を進めることになります。

賃貸住宅にお住まいの場合は、そのまま住むことができ、破産をしたからといって家を出ていかなくてはならないということはないです。

ただし、賃貸住宅の家賃を滞納していた場合は、滞納していた家賃も免責対象となるため、出ていかなければならなくなるでしょう(滞納していた家賃分の借金もゼロになるため、家主としては支払いをしてくれない居住者に対してそのまま住居提供はできないでしょう)。

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水道、電気、ガスなどは料金を支払えば利用可能

自己破産をしても原則としては水道、電気、ガスが止められることはないです。

理由としては破産法によって「破産者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、<中略>その義務の履行を拒むことができない。」との規定が定められているからです。

「継続的給付の義務を負う双務契約の相手方」というのは、一般的には、水道、電気、ガスなどの公共サービスを提供する会社を指しています。

ただし、料金の支払いを滞納をしていて、その期間が数ヶ月におよぶ場合には自己破産の手続きが開始される前に止められてしまう可能性があります。

滞納をしている場合であれば、一刻も早く弁護士に相談するなどして対処をする必要が出てきます。

滞納があると携帯電話やインターネットは解約になることがある

公共料金と同じように生活必需品でもある携帯電話やインターネットは、支払いの滞りがなければ自己破産によって解約になることはないです。

携帯本体の分割代金が完済されていて通話料金の滞納がなく、インターネットについても利用料の滞納が無ければ解約になることはないです。

ただし、携帯電話の本体価格の分割支払いや、通話料金の滞納がある場合やインターネット利用料の滞納がある場合には利用することができなくなり、解約になってしまう場合があります。

自己破産をしても税金は免除されない

滞納している税金は自己破産をしたとしても支払いをなくすことはできません

なぜなら、税金は非免責債権と位置付けられていて、支払い義務が免除される対象ではないからです。

自己破産直後は引っ越しや旅行が制限される

自己破産が同時廃止事件の場合は、居住地の制限や旅行の制限はありません。

いっぽうで少額管財事件で自己破産手続中は、破産者から債権者(借入先)に対する説明義務を尽くす必要があるため、裁判所の許可を得ないで勝手に居住地の変更をすることができません。

また、管財事件の場合であっても、制限が出るのは破産手続期間中だけであって、終結したら自由に引っ越しや旅行ができるようになります。

管財事件で手続きを進行していてもやむを得ない事情がある場合には、裁判所の許可を得られれば引っ越しが可能になります。

勝手な引っ越しや旅行はNGということです。

自己破産をしただけでは会社は解雇されない

では、仕事へはどのような影響が出るのでしょうか?

一定の職業への制限が発生することは解説しましたが、特段資格に該当しない場合は自己破産をしただけで会社から解雇されることはないといえます。

また、自己破産をした情報は官報に記載されるものの、ほとんどの方は閲覧しないので勤務先に自己破産した事実が知られることも、ほぼありません。

「勤務先からも借入がありその借金も免責される(ゼロになる)」など、特別な事情がある場合を除き、自己破産しただけで勤務先が自己破産者を解雇することは原則認められていません。

自己破産をしても選挙権は失われない

選挙権が無くなることはありません。

選挙権は国民主権の具現化として20歳以上の日本国民であればだれにでも認められている権利だからです。

自己破産をしても戸籍には載らない

自己破産をしても住民票や戸籍に自己破産の事実が載ることはありません。

自己破産をしただけでは周囲には知られない

ここまで読んでいただき、自己破産をしても周りに知られる可能性はほとんどないことがお分かりいただけたかと思います。

かつては破産すると、本籍地の市町村役場に通知が行くことになっていて、本人以外へ開示はされないものの、知人が役場に勤めていて知られてしまう可能性もありました。

しかし、平成17年施行の破産法改正に伴う通達によって、現在は破産したからといって、ただちに本籍地の役場に連絡が行くことはなくなりました(免責が不許可になった場合のみ、その旨の通知が行くことになっています)。

また、自己破産をすると官報に掲載されますが、一般の人が官報を見る可能性はきわめて低いと言えます。

そして、裁判所から自己破産の事実が勤務先に連絡が行くようなこともありません。

ただし、勤務先や親族・友人から借り入れをしている場合は、手続上、債権者(借入先)としてカウントされるので、その方々には知られることになります。

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自己破産後の家族への影響

自己破産をした後、妻の仕事には影響があるのか、子どもへの進学・就職には影響があるのかなど、家族への影響を解説していきます。

家族が保証人・連帯保証人になっている場合

もしも、妻や父母、親戚の誰かが自分の借金の保証人連帯保証人になっていたら、必ず影響が出てきます。

借金の返済義務が生じる

「家族が自分の借金の保証人になっている」、「妻が借金の連帯保証人だ」という場合は、自己破産をすると、保証人や連帯保証人に借金の返済義務が生じます(自己破産手続きの効力は保証人や連帯保証人にまで及ぶわけではないため)。

債権者(借入先)は、主債務者に自己破産されてしまうと本人には借金の請求ができなくなるため、保証人や連帯保証人に残りの借金を一括請求することになります。

連帯保証人も返済していくことが困難な場合は、保証人・連帯保証人自身も自己破産をしなければならない可能性が出てきます。

家族が保証人・連帯保証人になっていない場合

家族や親戚などを自分の借入先の保証人・連帯保証人にしていない場合は家族に対して借金の請求がいくことはなく、影響はありません。

家族の財産にも影響はない

自己破産の効果は、原則として申し立てをした本人にのみ影響を及ぼします。

そのため、自己破産をしたら家族の財産も一緒に処分をしなければならないことは原則としてありません

ただし、本人の財産なのか、家族の財産なのか判断する際には、名義だけを見て判断するのではなく、実質的な判断をされることになります。

つまり、家族名義の財産であっても実質的にみたときに自己破産者本人の財産だと判断されると処分の対象となるケースもあるということです。

当事者が財産を売却したため、家族に影響があるケース

自己破産をし、破産者本人名義の資産が差し押えられると、家族には影響はどのようなものがあるでしょうか?

自己破産手続き上、破産者本人名義の20万円以上の価値のある資産は差し押さえの対象となることは前述しました。

家族の財産は差押えの対象外ですが、破産者本人の名義であれば使用者が家族であっても当然処分対象となります。

そのため、自己破産手続き時の財産処分で発生する家族への影響を、車・持ち家・保険などの実例を元に説明していきます。

  1. 破産者名義の車の差押えによる家族への影響
    車での通勤、子どもや親の送迎など車を利用した生活が難しくなる。
  2. 破産者名義の家や土地の差押えによる家族への影響
    賃貸住宅や公営住宅への引っ越し、引っ越しに伴う転居・子どもの転校・職場変更の必要性が出る。
  3. 破産者名義の保険解約、貯金の差押えによる家族への影響
    生命保険・学資保険などの解約返戻金、積立の保険、貯金も処分対象となり、原則、手元に残らない。

また、ここで注意が必要なのが、自己破産前に家など財産の名義を破産者本人から家族に変更してはいけないということです。

なぜなら、破産前の財産名義変更は財産隠しとみなされてしまい、自己破産そのものの許可がおりない可能性があるからです。

家族がクレジットカードを作れない場合がある

自己破産をしたことによって、家族のクレジットカードへの影響は出てくるのでしょうか?

結論、影響が出るケース、出ないケースのどちらもあり得ます。

たとえば、家族名義のクレジットカードで、支払いの滞りが特段ない場合は引き続き使用できます。

しかし、破産者本人名義のカードに紐づく家族カードの場合は使用できなくなります。

また、新規のクレジットカードを作るときに家族名義であったとしても作成が難しいケースがあります。

それは、同居している家族(特に配偶者)が自己破産をしたというケースだと、新たにクレジットカードを作ろうとしても、名義貸しが疑われるなどでカードの審査に落ちてしまうということがあります。

これはカード会社ごとの判断になるので一概には言えませんが、家族名義の新規のクレジットカードが作れない可能性があることを知っておいたほうが良いでしょう。

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自己破産後の生活で気をつけること

ここでは自己破産後の生活で気をつけることをお伝えしていきます。

日常の生活で自己破産したことによる支障はほぼ出てこないといえます。

では、どのようなことには気をつけて過ごす必要があるのでしょうか。

ヤミ金は絶対に利用しない

自己破産をすると信用情報に事故情報が記載され、新たな借り入れやローンを組むことが難しくなります。

これはつまり、信用情報をチェックして融資判断をする正規の金融機関などからの借り入れやクレジットカードの作成がしばらくできなくなるということです。

ところが、この状況でもお金の貸付をしてくるのがいわゆるヤミ金です。

ヤミ金とは、国や都道府県に貸金業としての正規登録を行っていなかったり、出資法に違反する高金利で貸し付けをしたりする悪徳業者のことをさします。

「どこからもお金を借りられず1万円だけでいいから…」などと借りてしまうと、高い金利をつけられ、借金はみるみる膨らみます。

返済ができなければ違法な取り立ても行い、更に別のヤミ金からもお金を借りてしまう最悪の状態になりかねません。

どこからも借金できないからといって、ヤミ金には絶対に手を出さないようにしてください。

生活設計を考え直し、それに沿って生活をする

自己破産後の生活として大事にすべきは、生活設計の考え直しをすること、そしてその生活設計に沿って生活をしていくことでしょう。

これはなにもすべて節制して暮らさなければいけないということではないです。

収入と支出のバランスを考えて生活設計をし、また借金を増やさないようにするということです。

ちなみに、一度自己破産をして免責を受けた場合、原則として7年間は免責許可の決定を受けられないため、再度自己破産という道で救済を受けることは困難です。

自分の生活をしっかり管理していくように心がけましょう。

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