生活保護での借金返済と、受給中の任意整理・自己破産

生活保護受給中の借金返済

現在借金を抱えている方の中には今後の生活保護受給を検討している方もいらっしゃると思います。

また、生活保護を受給している方の中で、借金を抱えている人や借金の返済に悩んでいる人も少なくないのではないでしょうか。

この記事では借金を抱えている状態での生活保護受給や現在進行形で生活保護受給中の方の借金返済方法についての注意点・返済に困った際の解決方法などを解説していきます。

ぜひ参考にしてみてください。

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この記事の監修者

弁護士法人 天音総合法律事務所 正木 絢生 (第一東京弁護士会所属)

借金がある人でも生活保護を受けられる?

借金があっても生活保護の受給は可能なのでしょうか?

正解は、可能です。

生活保護受給要件に借金の有無は関係ないからです

最初に、借金があってもなぜ生活保護を受給できるのかを中心に解説していきます。

生活保護を受けることは可能

借金を抱えている状態で生活保護を受給する条件や受給内容などをご案内します。

そもそも生活保護とは、「困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する」制度です(厚生労働省Weサイトより)。

どのような方が生活保護受給の対象になるかというと、「資産や能力など、あらゆるものを活用しても生活に困窮する方」になります。

具体的には、下記の3つを活用しても困窮する状態となる方となります。

  1. 資産の活用…預貯金、生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却し生活費に充てること
  2. 能力の活用…働くことが可能な方は、その能力に応じて働くこと
  3. あらゆるものの活用…年金や各種手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用すること

この3つの観点に鑑みても生活に困窮する状態になる人であれば受給可能ということです。

また、生活保護を受けた場合の具体的な内容は以下の通りですが、一言でまとめると生活を営む上で必要な各種費用に対応して扶助が支給される、ということになります。

生活を営む上で生じる費用 扶助の種類 支給内容
日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等) 生活扶助 基準額は、
(1)食費等の個人的費用
(2)光熱水費等の世帯共通費用
を合算して算出。特定の世帯には加算があります。(母子加算等)
アパート等の家賃 住宅扶助 定められた範囲内で実費を支給
義務教育を受けるために必要な学用品費 教育扶助 定められた基準額を支給
医療サービスの費用 医療扶助 費用は直接医療機関へ支払
(本人負担なし)
介護サービスの費用 介護扶助 費用は直接介護事業者へ支払(本人負担なし)
出産費用 出産扶助 定められた範囲内で実費を支給
就労に必要な技能の修得等にかかる費用 生業扶助 定められた範囲内で実費を支給
葬祭費用 葬祭扶助 定められた範囲内で実費を支給

借金の金額は生活保護の受給に影響する?

さて、借金がある方でも生活保護の受給は可能ということをご紹介しましたが、借金がある方でも生活保護の受給ができる理由を簡単に説明すると、「生活保護の受給条件に借金は関係ないから」です。

生活保護の受給条件で問われるのはあくまでも収入や資産の状況であり、どれだけ高額の借金があったとしても、また複数の借入先があったとしても、収入が基準に満たなければ生活保護を受給することができる、ということになります。

生活保護を受けても借金は無くならない?

結論からお伝えすると、生活保護を受給したからといって借金を無くすことはできません

借金とは借り主と貸し主の問題だからであり、生活保護を受給したからといって借金が消えるわけでも、減るわけでもありません。

借金返済のためのお金は支給されない

生活保護の受給により借金免除や返済義務を消すことはできなかったとしても、生活保護を受けることで、借金返済そのものを援助してもらえないのでしょうか?

結論としては、「生活保護受給の種類と内容」でもご説明しましたが、「借金返済のためのお金の支給」はありません。

むしろ、生活保護費が生活のための最小限度のお金である以上、その中から借金を返済することは現実的に困難でしょうし、禁止されるとまではいえませんが、推奨されるとも言い難いです。

毎月の返済義務はなくならない

お伝えしたように、生活保護の受給期間中であっても借金返済の義務は無くならず、借金の督促などを一時的に止められる、ということもありません。

つまり、生活保護の受給中を含め、借金放置はいかなるときでも厳禁です

法律上、借りたお金には返済の義務があり、生活保護受給を受けるほど生活が困窮しているからといって当然に借金が免除されたり、一時的に返済を止めたりしていい理由にはならないのです。

生活費の捻出が厳しい状況だったとしても、借金がある限り返済の義務が発生し、放置をしてしまえば金融会社から催促が来てしまいます。

滞納している場合、生活保護を受けても取り立ては続く

もし借金を滞納してしまっている時に生活保護を受給するとどうなるのでしょうか?

滞納分の借金については生活保護受給費の中から借金返済に充てていっても良いのでしょうか?

こちらも、答えはNOです。

滞納している借金があっても、生活保護費を返済に充てることはできませんし、返済義務を無くす、一時的に返済を待ってもらう、ということはできないのです。

しかも、返済ができないからといって借入先からの催促を無視し続けていると裁判所から訴状が届いてしまいます。

借金問題は、生活保護受給や返済の遅滞が発生しているかどうかにも関わらず、必ず返済をしていく必要があるということです。

生活保護のお金で借金を返済するとどうなる?

生活保護のお金で借金を返済してはいけないとご説明しましたが、では、生活保護のお金で借金を返済してしまった場合、どうなるのでしょうか?

不正受給になり、生活保護を打ち切られる可能性がある

生活保護費で借金を返済した場合、不正受給に該当する可能性があり、生活保護が打ち切られる可能性があります。

中には福祉事務所に分からないように返済に充てれば良いと思う方もいるかもしれませんが、福祉事務所は生活保護受給者への訪問調査の実施や、受給者と取引のある金融機関を調べることができるため、秘密裏に生活保護費を借金返済に充てることはできないのです。

もしも福祉事務所に生活保護費を借金返済に充てたという事実が判明して生活保護が打ち切りになってしまうと、さらに生活が困窮極まることは火を見るよりも明らかでしょう。

「生活保護費を利用しての借金返済は絶対にNG」ということを覚えておいてください。

借金返済をしたいなら生活保護よりも債務整理

では、借金を返済していきたいとお考えの方の場合はどのような策を取れば良いのでしょうか?

具体的な借金返済方法を2つ紹介します。

返済額が減れば返していける場合は任意整理を検討

「返済額さえ減ってくれれば返済をしていけるのに…」という方であれば、借金返済の方法として任意整理という手段を選択するのが良いでしょう。

任意整理とは、借金問題の解決方法である債務整理の手法のひとつで、「今後の借金返済の際に発生する将来の利息を原則として一切カットして、元金のみを3年~5年程度の長期間分割で返済をしていく手段のこと」をさします。

裁判所を介さずして月々の返済額の減額や、将来利息の原則カットによる返済総額のボリュームダウンができる方法なのです。

そのため、借金の月々の支払いの減額さえされれば返済していける目途がある、という方には大変おすすめの方法と言えるでしょう。

任意整理は個人で行うことも可能ですが、実行にあたって貸金業者とのやり取りを法的な知識を持ちながら実施していく必要があります。

そのため、借金減額に強い弁護士事務所に力になってもらうことが解決の近道になるといえるでしょう。

ポイントは、どこの弁護士事務所でも良いから任意整理の実施を依頼する、ということではなく債務整理経験が豊富で貸金業者対応に長けている事務所を選ぶべきということです。

収入がなくて返済できない場合は自己破産を検討

月々の借金返済額が下がったとしても収入が無いなどで返済が難しい方は、どのように問題解決をしていけばよいのでしょうか?

この答えは、自己破産という手段を選択するということです。

自己破産という文字だけを見てもどういう事態になるのか想像ができず、不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

自己破産とは、国が設けている借金問題救済の方法で、裁判所での手続きにより借金の返済を全額免れる制度のことをさします。

自己破産をすることによるデメリットを心配されている方もいらっしゃると思いますが、生活保護を検討されている方の場合、自己破産のデメリットである、

  • 財産の没収
  • クレジットカードやローンが利用できなくなる

という2点については、ほぼ心配がないといえるでしょう。

なぜなら、生活保護を受給するには財産や十分な収入がないことが条件とされていて、没収される財産も利用できるカードやローンなどもないケースが多いからです。

そのため収入がない、月々の返済額が減額されても返済に捻出できるお金がないという方は、借金を一旦すべてなくすことができる自己破産をするメリットが大きいといえるでしょう。

自己破産をした後に生活保護を受けられる

では、借金が返済できる状態でもなく、生活をしていくのも困難で生活保護を受けたい場合はどうしたらよいのでしょうか?

上記のような場合には、自己破産をしてから生活保護受給をするのがベストな選択と言えます。

借金がある状態で生活保護を受けると、受給金を借金返済に充てられると思われてしまい、トラブルになるリスクもあります。

対して、自己破産をしたからといって生活保護受給ができなくなるわけではないのです。

そのため、生活保護受給を検討するにあたっては、まず債務整理をして生活保護を受給する、というのが無難でしょう。

債務整理といっても何から取り組めばいいのか?どのように進めればよいのか?お困りの方はお気軽に下記を確認してみてください。

生活保護を受けている時に借金をしても良い?

生活保護を受給中の借金

すでに生活保護を受給していて、さらに借入をしても良いのか気になっている人もいるかと思いますが、生活保護受給中でも新たにお金を借りること自体はできます。

しかし、生活保護を受給している状態で借り入れをすることは、金融機関の審査が通らず困難でしょうし、生活保護受給中の新たな借り入れが原因でトラブルが発生することもあります。

どのような問題点が出てくるのか解説をしていきたいと思います。

生活保護を受給中に新たな借金はしない

生活保護を受給中に新たな借金をしないほうが良い理由は、まず新たな借り入れは収入とみなされてしまうことです

生活保護は収入が規定に満たない人を扶助する制度であり、借入を行い、収入が上がったとみなされれば、そのぶん貰える生活保護費は減額されてしまうのです。

また、新たな借入先が増えたということは当然ですが返済すべき借金が増えたということになります。

現在の返済額の時点で既に生活が困窮されている場合、さらに返済額が増加すれば、より一層生活費に充てられる金額も減ってしまい苦しくなってしまうことが予想できます。

そして、借入をしたことを福祉事務所に隠したまま生活保護を受給してしまうと、不正受給となってしまい、生活保護が廃止されたり、受け取った生活保護費の返還を求められることもありえます。

以上の通り、生活保護受給中の借り入れを増やすこと、借り入れから返済をすることはやめておいたほうが良いと言えます。

生活保護を受給している時に債務整理はできる?

現在進行形で生活保護を受給している場合でも債務整理はできます。

債務整理とひとくちにいっても、任意整理、自己破産、個人民事再生など、複数の方法があります。

ここでは、どのような人がどの債務整理手段が向いているか、債務整理するにあたってかかってくる費用などをお話ししていきます。

生活保護受給者には、任意整理や個人再生よりも自己破産が向いている

生活保護受給者には任意整理や個人再生といった債務整理の手段よりも自己破産を選択したほうがメリットが大きいといえます

理由としては、すべての借金をゼロにして生活の再建がはかれるからです。

いくら任意整理や個人民事再生といった手段で減額がされても、借金自体が残っていることで月々の家計を圧迫し生活費に影響を及ぼしかねませんし、上記の通り生活保護中に借金返済を行うことはトラブルのもととなります。

つまり、生活保護受給中だと借金の返済を行うことも、新たな借り入れも困難ですし、当然借金の放置もできません。

そこでまずは、法的な国の救済措置である自己破産によって借金を一切無くして再出発の計画を立てることが良いといえます。

自己破産をしても生活保護を引き続き受けられる

自己破産をした場合、生活保護受給中の方にとっては支給されなくなってしまわないか、ということは大きな不安でしょうが、生活保護の受給条件と自己破産は無関係ですので、自己破産後も引き続き生活保護を受給していくことができます。

生活保護中の自己破産でかかる費用

実際に自己破産をするとしたら気になるのは「どのくらいの費用が掛かるか?」ですよね。

法律事務所を自分で探して自己破産の手続きを依頼する場合、法律事務所によって費用は異なりますが、30万円~70万円ほどかかることが多いです。

また、自己破産にも種類がありそれぞれの金額の目安は下記になっています。

自己破産の種類 金額
管財事件 50万円~70万円
同時廃止 30万円~50万円

管財事件とは自己破産の申立人にある程度の財産がある場合の手続きです。

ある程度の財産の目安としては20万円以上の財産があるか否かになります。

対して同時廃止事件とは自己破産希望者に財産がほぼない場合の手続きになります。

また、事務所による部分もありますが、着手金、成功報酬などの弁護士費用とは別に、予納金、実費などがかかります。

内訳 金額
弁護士費用
(着手金、成功報酬など)
20万円〜40万円
予納金
(管財事件の場合の管財人の費用)
20万円〜50万円
その他実費
(印紙代や郵便代など)
5,000円〜1万円

金額を知り、生活困窮の為に自己破産を検討しているのに、これだと手続きをすることもできないと思った方もいることでしょう。

ですが、国が設立した法的トラブルの支援機関である法テラスに相談をすれば、費用の悩みも解決することができます。

法テラスを利用すれば、費用を立て替えてもらえる

法テラスとは日本司法支援センターのことで、国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所です。

借金、離婚、相続など、さまざまな法的トラブルを抱えてしまったとき、「誰に相談すればいいのか?」、「どんな解決方法があるのか?」と、わからないことも多いかと思います。

こうした問題解決への道案内をするのが法テラスになります。

この法テラスを利用すれば、生活保護受給者を対象に自己破産費用の立て替えを行ってくれますし、生活保護を受けている方ならば基本的に償還免除ということで、立て替えてもらった費用を返す必要もなくなることが多いです。

借金返済に関するお悩みは天音総合法律事務所まで

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借金問題で弁護士を選ぶポイントは2つです。

  1. 無料で借金問題の相談が出来るか
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1はこれ以上経済的に困窮しないためにも必須で、2は、債務整理問題に精通している事務所に頼むことでスピード感ある対応をしてもらえ、督促をすぐに停止でき、借入先との交渉にも強いからです。

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