借金を家族に肩代わりしてもらうと贈与税がかかってしまうって本当ですか?

借金を家族に肩代わりしてもらうと贈与税がかかる

借金を家族に肩代わりしてもらった場合、原則として贈与税がかかります。贈与税の税率は高額で、思いもよらない金額の税金が課税されることもあるため注意が必要です。

ただし、債務超過が明らかな場合であれば、贈与税がかかることはありません。

また、肩代わりの際に贈与はなく、家族間での貸付にすれば贈与税はかからなくなります。

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この記事の監修者

弁護士法人 天音総合法律事務所 正木 絢生 (第一東京弁護士会所属)

借金の肩代わりには贈与税がかかる?

贈与税とは、個人から贈与された財産に対して課せられる税金のことをさします。

亡くなった後に財産を相続する場合には相続税が発生しますが、生きている間に財産を受け取る場合には贈与税がかかります。

この贈与税が、借金の肩代わりに大きく関係します。

借金の肩代わりとして返済を行うことは、一度金銭を贈与し、その贈与分から借金を返済したとみなされてしまうからです。

つまり、肩代わりした金額は贈与税の課税対象となります。

財産を渡した側に贈与税がかかることはなく、財産を受け取った側のみ贈与税を納める義務があります(受贈者課税方式)ので、肩代わりによって借金を返済するケースでは、肩代わりをしてもらった側に贈与税の納付義務が発生します。

そして、この贈与税の税率は非常に高いので、借金を肩代わりをしてもらった人にとっては大きな負担になってしまいます。

「肩代わりしてもらったことを誰にも言わなければ大丈夫じゃない?」と思うかもしれませんが、そんなに甘くはありません。

贈与税を支払えないなどの理由で確定申告をしないでいると、税務署からの税金納付の連絡がきてしまうこともありますので気をつけましょう。

贈与税はいくらかかる?

贈与税は、祖父母や両親などの直系尊属から20歳以上の子や孫などへの贈与である「特定贈与財産」と、これ以外の贈与である「一般贈与財産」で税率が異なります。

また、基礎控除もあります。

基礎控除の金額と2パターンの贈与の計算方法を順番にご説明します。

年間110万円以下の贈与は贈与税がかからない

贈与税は毎年1月1日から12月31日までに行われた贈与の合計に対して贈与税を計算することになっており、基礎控除が年間110万円あります。

そのため、贈与した財産の金額が年間110万円以下であれば、贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は必要ありません)。

肩代わりした借金が110万円以下で、ほかに贈与を受けた財産がない場合は、借金の肩代わりをしてもらっても贈与税は発生しません。

また、贈与税を計算する際には、年間贈与の合計額から110万円差し引いた残額に対して、贈与税率を乗じて計算を行います。

特定贈与財産

基礎控除後の課税価格

特定贈与財産

税率

控除額

200万円以下

10%

400万円以下

15%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1000万円以下

30%

90万円

1500万円以下

40%

190万円

3000万円以下

45%

265万円

4500万円以下

50%

415万円

4500万円超

55%

640万円

一般贈与財産

基礎控除後の課税価格

特定贈与財産

税率

控除額

200万円以下

10%

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1000万円以下

40%

125万円

1500万円以下

45%

175万円

3000万円以下

50%

250万円

3000万円超

55%

400万円

贈与税の計算例

30歳の方が母親に400万円の借金を肩代わりしてもらったと仮定して計算してみましょう。

このケースでは、特定贈与財産が該当し、基礎控除も踏まえると計算式は下記のようになります。

(400万円-110万円)×15%-10万円 =33万5000円

贈与税は33万5000円になりました。

贈与の金額が増えるほど、贈与税も高額になっていきますので、高額の借金を肩代わりしてもらうこさいは特にご注意ください。

贈与税をかけずに肩代わりしてもらうことはできない?

借金の肩代わりをしてもらうと、高額な贈与税がかかってしまうことはおわかりいただけたかと思います。

では、贈与税をかけずに借金の肩代わりをしてもらうことはできないのでしょうか?

こちらでは、贈与税をかけずに借金の肩代わりをしてもらう方法について記載します。

債務超過が明らかな時だと贈与税はかからない

贈与で借金を肩代わりしてもらっても贈与税がかからないケースがあります。

それは、債務者が明らかな債務超過状態で自力では返済が難しい場合です。

たとえば、債務者が複数社からの借り入れをして多重債務状態に陥っているにも関わらず、預金残高もほぼなく収支が逆転してしまって生活費に困窮しているようなケースであれば、贈与税がかからない可能性が高いでしょう。

たとえば、親が子どもの借金返済の肩代わりをするケースでは、子どもに処分できるような財産がなく、収入から判断しても借金返済が困難であると言えると、贈与税はかからない可能性があります。

贈与ではなく貸付なら税金は発生しない

借金返済の肩代わりをしてもらっても贈与税をかからないようにするには、贈与ではなく貸付をしてもらう方法が挙げられるでしょう。

具体的には、たとえば親が借金の返済を肩代わりしてくれる場合に、その金額を親から贈与してもらうのではなく、親から借りることにして、親に対して借金返済をしていくという手段です。

これは借りた設定にすればいいわけではありません。

以下のことを行い、実際に親から借りて返済していくというものです。

親からの借金や返済の証拠がない場合には、税務署から「贈与だったのではないか」と指摘が入る可能性がありますのでお気をつけください。

1.借用書の作成をすること

親に金銭を贈与してもらったのではなく貸付をしてもらった証拠として、借用書を作成しましょう。

2.支払いの期日を設定する

支払いの期日をきちんと決めた上で借用書に記載をしましょう。

毎月でなく2ヶ月に1度などという頻度であったり、支払いの期日を決めずに余裕ができたときに返すといったりした取り決めだと、貸付ではなく贈与とみなされてしまう可能性が高いです。

3.親名義の口座宛に返済していくなど、証拠を残す

手渡しで返済すると、第三者からは返済をした事実が分かりません。

親名義の預金口座に返済をするなどして、返済の事実が証拠として残るようにしましょう。

4.利息をつけて返済をしましょう。

両親や親族などへの返済だとしても、利息をつけて返済を行うことが望ましいです。

お金の賃借契約の基本は、貸したお金に対して利息をつけて返済することであるため、利息を取らずにお金を貸していたとなると、利息分は贈与したとみなされることもあります。

そのため、利息の取り決めをして、利息を含めて返済を行う必要があるでしょう。

借用書を用意して返済期日を定め、利息と合わせて親名義の口座に返済をしていくのが良いです。

本当に正しい借金問題の解決方法を相談

借金問題に悩んだ際に、家族や親族が借金の肩代わりを名乗り出てくれることもあるでしょう。

しかし、借金返済の肩代わりをしてもらうと、基本的に肩代わりをしてもらった債務者に贈与税がかかります。

贈与税は税率が高く、まとまった大きな金額を税金として納めなければなりません。

贈与税によって新たな金銭トラブルが生じるケースや、出費がさらにかさんでしまうなどの事態も起こり得ます。

そのため、借金を肩代わりしてもらえる人がいても、肩代わりがベストの選択肢とは限りません。

借金を肩代わりしてもらうべきか、債務整理で借金問題を解決するべきか悩んだ場合には、一度、弁護士にご相談ください。

弁護士であれば、収入や借り入れ状況などをみて、肩代わりと債務整理のどちらが良いかを判断できますし、債務整理をするケースでは、任意整理、個人再生、自己破産の中でどの手続きが最適なのかも判断できます。

天音総合法律事務所では、各債務整理の解決実績も豊富にあります。

少しでも不安や疑問がある方は、おひとりで悩まず、弁護士にご相談ください。