
肩代わりして借金をやめさせるのはキケン?
家族内に借金をしている人がいる場合、本人以外は「なんとかして借金をやめさせたい」と考えているものの、当の本人にその意識がなく、借金を繰り返して一向に問題が解決しないといったことが良く見受けられます。
このようなケースで、本人以外が主導して借金をやめさせる方法があればいいのですが、決定的な方法はありません。
いくら周りが手を尽くしても本人に自覚がなければ直すことは難しいです。
また、本人が借金をするルートを他人が断ち切ることもできません。
たとえばクレジットカードのキャッシングで借金がある場合、個人で所有するクレジットカードは、家族であっても勝手に解約することは原則としてできません(家族カードの場合は、本会員が解約手続きをすることができます)。
没収したり勝手に処分したりしてカードを使えなくしても、別のカードを作られてしまうだけで意味がありません。
また、「お金を工面してあげれば、借金をしないで済む」といった考えもあるかもしれません。
たしかに借金を肩代わりしてあげることで、返済の催促がなくなったり、無駄に利息を支払う必要がなくなるので借金をしている本人からすればとても楽になります。
相手が身近な人であればあるほど借金を肩代わりしてあげたくなる気持ちもわかります。
ただし、借金の肩代わりをすると、本人が苦労することなく返済できてしまいます。
借金を繰り返させないためには、借金を返済するために「いろいろなことを我慢する」、「苦労して借金を返済していく」など大変な思いをし、二度と同じ思いをしたくないという気持ちになることが大切です。
しかし、何も苦労せずに借金がなくなってしまうと「借りてもなんとかなる」と勘違いをしてしまい、目先のお金に困ったら、また借金をしてしまうでしょう。
そのため、家族が肩代わりすることは、根本的な解決にはならない可能性があります。
肩代わりするかどうかは、借金をしている本人の性格などから判断してください。
家族に迷惑をかけることに負い目を感じる性格の人であれば家族が手助けをして良いかもしれませんが、そうでない場合は、周りがお金で助けてあげないほうが良い可能性があります。
借金をやめさせる方法
家族が勝手に借金をやめさせることはできませんが、“本人を説得する”という条件付きであれば、弁護士などに依頼をして債務整理をすることで、借金問題を解決できる可能性があります。
債務整理をすることで借金が減額(または借金がなくなる)されますが、同時に、一定期間クレジットカードを作ったり、新たに借り入れをすることができなくなったりします。
お金を借りたくても借りれない状況を作り出すことができ、お金に制限のある生活をしていくことで、借金に対する意識が変わるきっかけになる可能性があります。
現在すでに裁判所からの支払督促が届いていたり、自宅に取り立てがきたりなど、本人が返済に行き詰っているなら、早めに債務整理をしましょう。
ただし、借金の借り入れ情報は個人情報になるので家族でも教えてもらうことはできず、本人(もしくは弁護士が代理)で行う必要がありますので、まずは本人を説得することが重要です。
ヤミ金に手を出す可能性があるなら慎重に
借金グセのある人が債務整理をすると、債務整理後の借り入れができない期間中にヤミ金に手を出してしまうことがあります。
クレジットカードが作れない、新たに借り入れができないと言っても、それは一般的な金融会社が相手の話。
ヤミ金には、そんなことは関係ありません。
むしろ、ヤミ金は金融会社から借り入れができない人をターゲットにしています。
ヤミ金に手を出してしまうと大きなトラブルは避けられません。
本人が納得していないのに無理やり債務整理をさせた場合は、債務整理をさせることでヤミ金からお金を借りてしまうリスクもありますので、十分に注意してください。
債務整理をするなら弁護士に相談
借金をしている本人を説得でき、債務整理をすることで話が進み出したら、一度弁護士にご相談ください。
弁護士であれば債務整理を行うメリットをより具体的にご説明することができますので、まだご本人に迷いがある場合は、弁護士も説得に協力できる可能性があります。
家族だけで借金をやめさせるのではなく、借金問題に詳しい弁護士の力もご活用ください。
貸付自粛制度を利用する
債務整理以外で借金をやめさせる方法として、貸付自粛制度の利用があります。
貸付自粛制度とは、「貸付をしないでください」と申告した本人に対し、金融会社が貸付を行わないという制度で、2019年3月にスタートしました。
申告手続きを行うと、信用情報機関にその旨が登録されます。
金融会社は、貸付前の審査で信用情報の確認を行いますので、その際に貸付自粛の申告がされていることが把握され、審査が通らなくなります。
貸付自粛制度の申告ができるのは本人だけになっています。
適用期間が5年と決まっており、申告から3ヶ月が経過すると自粛を撤回することができます。
そのため、一度申告したからといって、ずっと貸付を防げるものではありません。
また、債務整理同様、ヤミ金に手を出してしまう可能性もありますので注意が必要です。