歩行者対車の事故発生状況報告書の書き方。図解でわかる!

監修弁護士

弁護士法人 天音総合法律事務所 正木絢生 (第一東京弁護士会所属)

  • 公開日:
図解でよくわかる!歩行者 対 自動車の場合の事故発生状況報告書

交通事故の被害者が加害者の保険会社に対して慰謝料などを請求する際は事故発生状況報告書という書類を作成する必要があります。書類の記載内容によって受け取る賠償金額が変わることもある、重要な書類です。
ここでは、歩行者対車の交通事故における事故発生状況報告書の書き方のポイントをご説明いたします。

事故発生状況報告書を作成するポイント

事故発生状況報告書は、交通事故があった時の状況を詳しく説明するための書類です

状況によっては、被害者が歩行者であっても過失(事故の責任)が付く可能性があるため、必要以上の過失が付いてしまうことがないよう、以下の点を正しく記載することが大切です。

  • 横断歩道や歩道のどこを歩いていたか
  • 信号の状況
  • 一時停止の標識の有無
  • 見通し など

「歩きスマホをしていた」、「信号のない場所を横断していた」などの理由で歩行者に過失がある場合は、その事実も正直に書くようにしましょう。

事故発生状況報告書の基本的な書き方は、下記でご説明していますので、そちらをご覧ください。

ここでは、歩行者対車の事故発生状況報告書の書き方として

  • 横断歩道での事故
  • 路地での出会い頭の事故
  • 信号、横断歩道のない交差点での事故

の3事例をご説明いたします。

事例1:横断歩道での事故の事故発生状況報告書

横断歩道での事故の場合

横断歩道で多いのが、横断中の歩行者と左折や右折をしてきた自動車が衝突してしまう事故です。

上の図は、歩行者が青信号を横断中で、右後方から自動車が左折してきた際に発生した交通事故の事故発生状況報告書です。

作成のポイント

  • 歩行者の信号、自動車の進入状況を細かく記載しましょう

横断歩道での歩行者と自動車の衝突事故における事故発生状況報告書でまず重要なのが、歩行者用信号の状況です。

歩行者が青信号を横断していた場合、歩行者に過失は付きませんが、信号が点滅していたり、赤になっていたりした場合は、歩行者にも過失が付く可能性があります。

青信号を横断していたのであれば、その旨を正しく記載するようにしましょう。

また、横断歩道から少し離れたところを渡っていたとしたら、それも歩行者に過失が付く要因となり得ます。

図や記入欄を用いて、横断歩道を正しく渡っていたことを伝えることも大切です。

「自動車が減速不十分で左折をしていた」、「自動車側に信号がなく一時停止を無視していた」といった事情があると自動車の過失が重くなりますので、歩行者側だけでなく、自動車側の状況もきちんと記載することが大切です

横断歩道での事故の「過失割合」の一例

歩行者用信号の状況
(横断歩道上の歩行者と青信号で左折した自動車との事故)
歩行者 自動車
歩行者用信号が青の場合 0 100
歩行者用信号が点滅(黄色)の場合 30 70
歩行者用信号が赤の場合 50 50
  • 上記は一例です。自動車の進行方向等によって過失割合は変わります。

事例2:路地での出会い頭の事故の事故発生状況報告書

路地での出会い頭の事故の場合

路地の小さな交差点では、歩行者と自動車が出会い頭に衝突してしまう事故も発生しています。

こちらは、T字路を右折しようとした自動車と歩行者が正面衝突をしてしまった事故での事故発生状況報告書です。

作成のポイント

  • 信号や標識の有無、見通し、歩いていた道路の状況を記載しましょう

このような出会い頭の衝突事故の場合、道路状況を正しく記載することが大切です。

  • 右折をしてきた自動車側に信号や一時停止の標識はあったか
  • 道路の広さに違いはあったか
  • 交差点の見通しはどうだったか

たとえば、自動車が一時停止を守っていなかったなどの事実があれば、そのことを記載するようにしましょう。

また、歩行者が道路のどこを歩いていたかによって過失の有無が変わることがあります

歩道や路側帯を歩いていた場合であれば過失は付かないケースが多いですが、路側帯がない道路の中央を歩いていた場合は、過失が付く可能性があります。

以下の点に注意して、自分が歩いていた道路の状況を書きましょう。

  • 道幅や歩道
  • 路側帯の有無
  • 歩いていた場所 など

事例3:信号、横断歩道のない交差点での事故の事故発生状況報告書

信号、横断歩道のない交差点での事故の場合

こちらは、歩行者が信号や横断歩道のない道路を横断しようとした際に自動車と衝突してしまった事故での事故発生状況報告書の記入例です。

作成のポイント

  • 道幅や自動車の進行方向で「過失割合」が変わってきます

信号や横断歩道のない交差点を渡ろうとした際に交通事故に遭ってしまった場合、歩行者にも過失が付く可能性があります

交差点が幹線道路であるか否かや、道路の道幅の違いによって、過失割合は下記のように変わってきます。

信号や横断歩道のない交差点・道路での事故の「過失割合」の一例

交通事故時の状況 歩行者 自動車
幹線道路または、道幅が広い方の道路を横断中に直進車と衝突した場合 20 80
幹線道路または、道幅が広い方の道路を横断中に右折車や左折車と衝突した場合 10 90
道幅が狭い方の道路を横断中に自動車と衝突した場合 10 90
直線道路を横断中に左または右から直進してきた自動車と衝突した場合 20 80

事故発生状況報告書には、事故が発生した道路の広さや自動車が直進してきたのか、左折や右折をしてきたのかを記載するようにしましょう。

また、交差点ではなく、信号や横断歩道のない直線道路を横断中に事故に遭ってしまった場合も、自動車側に不注意などがない限りは、歩行者に過失が付く可能性があります。

事実を正直かつ詳細に書きましょう

交通事故被害者が歩行者の場合でも、道路状況によって過失割合が変わってきますので、必要以上の過失が付いてしまわないよう、事故発生状況報告書は詳細に記載するようにしましょう。

また、最近では、歩きスマホが問題視されており、過失にも関係してきます。「きちんと前を見て歩いていた」など、些細なことであっても記載することをオススメします。

自分にとって不利な内容を書かずに作成し、後からそのことがわかってしまうと、相手保険会社からの印象が悪くなり、慰謝料請求を進めづらくなってしまいますので、事実を正直に、かつ詳細に書くようにしましょう。