ワーママの交通事故被害の正しい対応。ケガで家事や育児が影響が出たら

監修弁護士

弁護士法人 天音総合法律事務所 正木絢生 (第一東京弁護士会所属)

  • 公開日:
交通事故に遭った30代ワーママのケース

子育てと仕事で忙しい毎日を過ごしているワーママ。交通事故被害に遭ってしまうと、家事、育児、仕事と多方面に影響が出てしまいます。でも、それぞれに対してどのような補償を受けることができるのでしょうか?
ここでは、30歳代で夫婦共働きの女性を想定した交通事故被害の正しい対応についてご説明します。

家事、育児、仕事への影響はどう補償される?

ワーママが交通事故に遭い、ケガをしてしまうと入院や通院によって家事や子育てができないことがあったり、仕事を欠勤したりするなどの影響が出てしまいます。
今回は、家事や子育てなど家庭内に影響をまとめて家事とし、家事と仕事での影響についてどのような補償を受けられるかご説明します。
まず、交通事故による損害は症状固定日を境目として、以下のように請求できる項目が変わります。

症状固定日を境目に、請求できる慰謝料の項目の違い

家事や仕事の損害について、ケガの治療中は休業損害、後遺障害が残り将来に渡って影響が出てしまう場合は逸失利益として補償を受けることができます。

家事に影響があった場合の補償

「仕事は休まずに済んだけど、家事に影響が出てしまった」。
この場合に注意してほしいのは保険会社の主張です。
主婦休損(主婦の休業損害)として支払いが認められているケースがたくさんあるにも関わらず、「家事の休業損害は認められない」と主張する保険会社が多いようです。
家事への影響だけの場合でも、休業損害を請求できますので、保険会社の言うことを鵜呑みにしないようにしましょう。
また、保険会社が同じように「家事の休業損害は認められない」と主張している場合でも、保険会社の担当者が「家事に関する休業損害は法律上認められない」と誤解しているのか、今回の事故に関して「家事に関する影響が出たとは認められない」と考えているのかでも対応は変わってきます。
保険会社にどのように反論するか迷った場合には、弁護士に相談してみてもいいかもしれません。

仕事に影響があった場合の補償

仕事を休んだ場合の損害については、前年度の年収をベースに、休業損害と逸失利益の金額を計算することになります。
ただし、パートやアルバイト、年収が低い場合は賃金センサスという国が発表している基準をベースに計算をします。
もし、交通事故による後遺障害が原因で退職したり、年収が下がったりした場合は、将来の収入減を逸失利益として請求することもできます

家事と仕事に影響があった場合の補償

家事と仕事の両方で支障をきたした場合、それぞれの休業損害を請求できるようにも思えます。
しかし、家事と仕事で損害が大きかった片方の休業損害しか受け取ることができないケースが多いです(家事と仕事の損害を合計して休業損害を受け取ることができるケースは限られます)。
この問題は、賠償金の示談交渉で争点になりやすいので、家事と仕事の両方で損害が出ている場合は、弁護士に相談して、休業損害で損をしないようにしましょう。

産休・育休から復帰して間もないときは?

休業損害、逸失利益の計算では、事故前1年間の収入から金額を計算することがあります。
しかし、産休や育休から復帰したばかりだと事故前の収入がほとんどありませんので、家事の休業損害や逸失利益を請求したほうが金額が高くなるように思えます。
このようなケースでは、産休・育休前の収入を用いて休業損害や逸失利益を計算して請求することができるため、お休みに入る前の収入を踏まえ、仕事と家事のどちらで賠償金を請求するか選択しましょう。

家事や子育てへの影響はどこまで請求できる?

日頃の家事や子育てが交通事故以前のようにできなくなった場合、それを補うためにサービスを利用したり、周りの方のサポートを受けたりすることもあると思います。
たとえば、入院などで家事ができなくなり、家事代行サービスを利用した場合、この費用を休業損害に含んで請求できることがあります。
請求できる可能性があるものを下記にまとめてみました。

休業損害として請求できる可能性があるサービス・サポート

家事代行サービス 家事代行サービスの費用を休業損害として請求できる場合があります。
ベビーシッター ベビーシッターの費用を休業損害として請求できる場合があります。
両親や親族による家事・育児 家事・育児を代わってもらった日数を休業損害として請求できる可能性があります。

家事代行やベビーシッターについては、全額が認められるとは限りません。
両親や親族による家事・育児については、サポートしてくれた方ではなく、被害者自身が休業損害を請求することになります。
親族が遠方からサポートに来た場合の交通費など、他にもかかった費用があるかもしれません。
どこまで休業損害として請求できるかについては、弁護士に相談をする際に確認するようにしましょう。
ケガや後遺障害を抱えながら家事や育児をこなすのはとても大変なもの。
無理をするのではなく、いろいろなサービスを活用し、ママだけでなく子どもやご主人も安心できる環境を整えることが大切です。

休業損害として請求できるサービスの範囲

30代ワーママの休業損害計算例

休業損害の金額の計算例

最後に、妥当な休業損害の金額の計算例をご紹介したいと思います。
「家事の休業損害」と「仕事の休業損害」を計算し、どちらが高額になるか確認をしていきます。

31歳・月収30万円のワーママの場合

家事の休業損害:15日間入院し、期間中、家事を一切できなかった場合

この場合、「賃金センサス」を利用し、下記の計算式で休業損害を算出します。
「賃金センサス」÷365×休業日数=休業損害

30〜34歳女性の「賃金センサス年収額」=387万1500円(令和元年の場合)
387万1500円÷365×15=15万9102円

休業損害は、15万9102円となります。

仕事の休業損害:15日間入院し、仕事を11日欠勤した場合

この場合、月給を日給にして、欠勤した日分をかけます。

月間の出社日数が20日間だとしたら、

30万円÷20日×11日=16万5000円
休業損害は、16万5000円となります。

この例では、「仕事の休業損害」のほうが高額になります。
先ほどご説明したように、家事と仕事、両方の休業損害を請求することができないケースが多いので、上記の例では、仕事の休業損害が妥当な金額といえるでしょう。

弁護士に相談して事故後の生活の負担軽減を

ワーママの場合、休業損害や逸失利益の示談交渉がトラブルになりがちです
交通事故後は仕事、家事、治療でとても大変なのに、交渉が複雑になるとさらに負担も増えてしまいます。
弁護士に相談をして1日も早い解決を目指しましょう。
天音総合法律事務所では、交通事故被害のご相談を無料で受け付けております。
休業損害や慰謝料で疑問がある方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。